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Update: 2024-01-02

Table of Contents

LightPadSynth

LightPadSynthライト パッド シンセ はピッチ変調を無くして補間を線形補完に変えた CubicPadSynth の軽量版です。ピッチ変調ができなくなった代わりに、各ボイスにディレイを追加しています。

full パッケージには次のビルドが含まれています。

Linux ビルドは Ubuntu 22.04 でビルドしています。もし Ubuntu 22.04 以外のディストリビューションを使っているときは、プラグインが読み込まれないなどの不具合が起こることがあります。この場合はビルド手順に沿ってソースコードからビルドしてください。

macOS で使用するときは macOS パッケージのダウンロードを推奨します。また Apple Developer Program に加入していないので、インストール時に Gatekeeper を迂回するように設定する必要があります。詳細は インストール -> macOS の節を参照してください。

連絡先

何かあれば GitHub のリポジトリに issue を作るか ryukau@gmail.com までお気軽にどうぞ。

paypal.me/ryukau から開発資金を投げ銭することもできます。

インストール

プラグイン

名前が .vst3 で終わるディレクトリを OS ごとに決められた位置に配置してください。

DAW によっては上記とは別に VST3 をインストールできるディレクトリを提供していることがあります。詳しくは利用している DAW のマニュアルを参照してください。

プリセット

注意: プリセットの無いプラグインもあります。

プリセットはページの最上部のリンクからダウンロードできるプラグインパッケージに含まれています。以下はプリセットのインストール手順です。

  1. ページの最上部のリンクからプラグインをダウンロード。
  2. ダウンロードした zip ファイルを解凍。
  3. presets ディレクトリ内の Uhhyou ディレクトリを OS ごとに決められたディレクトリに配置。

以下は OS ごとのプリセットの配置先の一覧です。

プリセットディレクトリの名前はプラグインと同じである必要があります。配置先のディレクトリが無いときは作成してください。

Windows

プラグインが DAW に認識されないときは C++ redistributable をインストールしてみてください。インストーラは次のリンクからダウンロードできます。ファイル名は vc_redist.x64.exe です。

Linux

Ubuntu 22.04 では次のパッケージのインストールが必要です。

sudo apt install libxcb-cursor0  libxkbcommon-x11-0

もし DAW がプラグインを認識しないときは、下のリンクの Package Requirements を参考にして VST3 に必要なパッケージがすべてインストールされているか確認してください。

REAPER の Linux 版がプラグインを認識しないときは ~/.config/REAPER/reaper-vstplugins64.ini を削除して REAPER を再起動してみてください。

macOS

重要: full パッケージは動作未確認です。以下のファイルは codesign されていないので削除する必要があるかもしれません。

macOS パッケージでは上記のファイルの削除は不要です。また、すべてのパッケージは codesign コマンドの ad-hoc signing の状態になっています。

隔離の解除

プラグインの初回起動時に「破損している」という趣旨のメッセージが表示されることがあります。この場合は、ターミナルを開いて、解凍した .vst3 ディレクトリに次のコマンドのどちらか、あるいは両方を適用してみてください。 /path/to/PluginName.vst3 の部分はインストールしたプラグインのパスに置き換えてください。

xattr -rd com.apple.quarantine /path/to/PluginName.vst3
xattr -rc /path/to/PluginName.vst3

Gatekeeper の迂回

プラグインは署名されていない (unsigned) 、または公証されていない (un-notarized) アプリケーションとして認識されることがあります。この場合は、警告メッセージが表示された後に、システム環境設定を開いて「セキュリティとプライバシー」 → 「一般」の「このまま開く」ボタンを押してください。以下にリンクした Apple 公式のヘルプページにスクリーンショット付きで同じ手順が掲載されています。「ノータリゼーションを受けていない App や未確認の開発元の App を開きたい場合」を参照してください。

ここまでの手順を経てまだ動かないときはインストール先を /Library/Audio/Plug-ins/VST3/ あるいは /Users/$USERNAME/Library/Audio/Plug-ins/VST3/ のいずれか使っていなかったほうに変えてみてください。

上記の方法がすべて上手くいかなかったときは以下の手順を試してみてください。

  1. ターミナルを開いて sudo spctl --master-disable を実行。
  2. システム環境設定を開いて「セキュリティとプライバシー」 → 「一般」 → 「ダウンロードしたアプリケーションの実行許可」と辿り、「全てのアプリケーションを許可」を選択。

上記の手順を実行するとシステムのセキュリティが弱くなるので注意してください。元に戻すには以下の手順を実行してください。

  1. システム環境設定を開いて「セキュリティとプライバシー」 → 「一般」 → 「ダウンロードしたアプリケーションの実行許可」と辿り、「App Store と認証済みの開発元からのアプリケーションを許可」を選択。
  2. ターミナルを開いて sudo spctl --master-enable を実行。

codesign の適用

注意 この節の内容は macOS パッケージには関連しないと考えられますが未検証です。 (GitHub の issue)

full パッケージを利用する場合は以下のコマンドを適用することで利用できるかもしれません。

sudo codesign --force --deep -s - /path/to/PluginName.vst3

codesign の利用には Xcode のインストールが必要となるかもしれません。

参考リンク

GUI の見た目の設定

初回設定時は手動で次のファイルを作成してください。

プラグインのウィンドウを開くたびに style.json が読み込まれて更新されます。

既存の色のテーマを次のリンクに掲載しています。 style.json にコピペして使ってください。

style.json の設定例です。

{
  "fontFamily": "Tinos",
  "fontBold": true,
  "fontItalic": true,
  "foreground": "#000000",
  "foregroundButtonOn": "#000000",
  "foregroundInactive": "#8a8a8a",
  "background": "#ffffff",
  "boxBackground": "#ffffff",
  "border": "#000000",
  "borderCheckbox": "#000000",
  "borderLabel": "#000000",
  "unfocused": "#dddddd",
  "highlightMain": "#0ba4f1",
  "highlightAccent": "#13c136",
  "highlightButton": "#fcc04f",
  "highlightWarning": "#fc8080",
  "overlay": "#00000088",
  "overlayHighlight": "#00ff0033"
}

フォントオプション

以下はフォントオプションの一覧です。

カスタムフォントを使用するには、プラグインディレクトリの *.vst3/Contents/Resources/Fonts*.ttf ファイルを配置します。

注意: fontFamilyfontBoldfontItalic で設定したフォントファミリ名とスタイルの組み合わせが *.vst3/Contents/Resources/Fonts 以下のいずれかの *.ttf ファイルに含まれていないときは VSTGUI が指定するデフォルトフォントが使用されます。

fontFamily が長さ 0 の文字列 "" のときはフォールバックとして "Tinos" に設定されます。長さが 1 以上かつ、存在しないフォントファミリ名が指定されると VSTGUI が指定するデフォルトフォントが使用されます。

ボールドあるいはイタリック以外のスタイルは VSTGUI がサポートしていないので動作確認していません。該当する例としては Noto フォントの Demi Light や、 Roboto フォントの Thin や Black などがあります。

色のオプション

16 進数カラーコードを使っています。

プラグインはカラーコードの 1 文字目を無視します。よって ?102938\n11335577 も有効なカラーコードです。

2 文字目以降のカラーコードの値に 0-9a-f 以外の文字を使わないでください。

以下は設定できる色の一覧です。設定に抜けがあるとデフォルトの色が使われます。

操作

パラメータが割り当てられているコントロールの上で 右クリック すると、 DAW から提供されるコンテキストメニューが開きます。

つまみと数値スライダでは次の操作ができます。

青い縦棒が並んだコントロール (BarBox) ではショートカットが使えます。ショートカットは BarBox を左クリックしてフォーカスすると有効になります。フォーカス後にマウスカーソルを BarBox の領域外に移動させると、ショートカットが一時的に無効になります。ショートカットによって変更されるパラメータはカーソルの位置によって変更できます。

左下のプラグイン名をクリックすると、よく使いそうな一部のショートカットを見ることができます。利用できる全てのショートカットを次の表に掲載しています。

入力 操作
左ドラッグ 値の変更
Shift + 左ドラッグ 値の変更 (スナップ)
Ctrl + 左ドラッグ デフォルト値にリセット
Ctrl + Shift + 左ドラッグ 値の変更 (フレーム間の補間が無効)
ホイールドラッグ 直線の描画
Shift + ホイールドラッグ 1 つのバーを編集
Ctrl + ホイールドラッグ デフォルト値にリセット
Ctrl + Shift + ホイールドラッグ ロックの切り替え
a 符号を交互に入れ替え
d すべての値をデフォルト値にリセット
D 最小値・中央値・最大値の切り替え
e 低域の強調
E 高域の強調
f ローパスフィルタ
F ハイパスフィルタ
i 値の反転 (最小値を保存)
I 値の反転 (最小値を 0 に設定)
l マウスカーソル下のバーのロックの切り替え
L 全てのバーのロックを切り替え
n 最大値を 1 に正規化 (最小値を保存)
N 最大値を 1 に正規化 (最小値を 0 に設定)
p ランダムに並べ替え
r ランダマイズ
R まばらなランダマイズ
s 降順にソート
S 昇順にソート
t 少しだけランダマイズ (ランダムウォーク)
T 少しだけランダマイズ (0 に収束)
z アンドゥ
Z リドゥ
, (Comma) 左に回転
. (Period) 右に回転
1 すべての値を低減
2-4 インデックスが 2n-4n の値を低減
5-9 インデックスが 2n-5n の値をホールド

Shift + 左ドラッグ のスナップは一部の BarBox だけで有効になっています。特定の BarBox にスナップを追加したいという要望があれば、気軽に GitHub のリポジトリに issue を開いてください。

Shift + ホイールドラッグ による 1 つのバーを編集は、マウスホイールが押された時点でカーソルの下にあるバーだけを編集します。マウスホイールが押されている間はカーソルの左右の位置に関わらず、選択したバーのみを編集できます。

Ctrl + Shift + ホイールドラッグ によるロックの切り替えでは、マウスホイールが押された時点でカーソルの下にあるバーの反対の状態が残り全てに適用されます。例えばカーソルの下のバーがアクティブだったときはロックに切り替えます。

いくつかの BarBox の下にはスクロールバーがついています。細かい調整を行うときはスクロールバーの左右のハンドルを 左ドラッグ で動かすことで表示範囲を変更できます。スクロールバーでは次の操作が行えます。

注意

Refresh LFO あるいは Refresh Table ボタンを押すと音が止まります。発音中のノートも全て停止します。

ウェーブテーブルの仕様

各 MIDI ノートに対応する 128 の帯域制限されたウェーブテーブルが生成されます。 128 という数字は MIDI ノート番号の値の範囲から来ています。

チューニングがずれているときは、セント値を切り捨てたインデックスのウェーブテーブルが使われます。例えば MIDI ノート番号が 60 、チューニングが -20 セントのときは floor(60 - 0.20) よりインデックス 59 のウェーブテーブルが使われます。

言い換えれば、チューニングがずれているときはナイキスト周波数より少し低い周波数で帯域制限されることがあります。

ブロック線図

図が小さいときはブラウザのショートカット Ctrl + マウスホイール や、右クリックから「画像だけを表示」などで拡大できます。

図で示されているのは大まかな信号の流れです。実装と厳密に対応しているわけではないので注意してください。

パラメータ

Main タブ

Gain

A, D, S, R

音量エンベロープのパラメータです。

Gain

音量を変更します。

Lowpass

素朴な 3-pole ローパスフィルタです。

Cutoff

フィルタのカットオフ周波数です。

Resonance

フィルタのレゾナンスです。最大にすると音量が大きくなるので注意してください。

KeyFollow

右いっぱいに回すと、カットオフ周波数がノートの音程と同じになります。左いっぱいに回すと音程に関わらず Cutoff で設定されたカットオフ周波数を使います。

A, D, S, R, Amount

フィルタのカットオフ周波数を変調するエンベロープのパラメータです。 AmountCutoff への変調量です。

Tuning

Octave, Semi, Milli

全体の音の高さを変更します。

ET, A4 [Hz]

音律を変更します。

ET は Equal Temperament (平均律) の略です。 ET が 12 のときは 12 平均律となります。 ET を 12 よりも小さくすると無音になる範囲が増えるので注意してください。

A4 [Hz] は、音程 A4 の周波数です。

Unison

nUnison

ユニゾンに使うボイスの数です。

Misc.nVoice を増やすことで nUnison が大きいときに起こるリリースの途切れを減らすことができますが、引き換えに動作が重くなります。

Detune, Random Detune

Detune はユニゾンに使われているボイスのピッチをずらす量です。

Random Detune のチェックを入れると、ピッチがずれる量がノートオンごとにランダムに変わるようになります。

random = RandomDetune ? rand() : 1
detune = pitch * (1 + random * unisonIndex * Detune)
GainRnd

ユニゾンに使われているボイスの音量をランダムに変更する量です。

Phase

ユニゾンに使われているボイスの位相をランダムに変更する量です。

Phase セクションの Reset にチェックが入っていないとき、この値は無視されます。

Spread, Spread Type

Spread はユニゾンの左右の広がりの量です。

Spread Type でボイスのピッチに応じたパンの割り当て方を選択できます。

Phase

Phase

オシレータの初期位相です。

Reset

チェックを入れると、ノートオンのたびにオシレータの位相を Phase で指定した値にリセットします。

Random

チェックを入れると、ノートオンごとに位相をランダマイズします。 Phase で指定した値がランダマイズの範囲になります。

Misc.

Smooth

特定の値を変更したときに、変更前の値から変更後の値に移行する時間(秒)です。

Smooth と関連するパラメータのリストです。 * はワイルドカードです。

Poly

最大同時発音数です。値を小さくすると CPU 消費が減ります。

Seed

乱数のシード値です。この値を変えると生成される乱数が変わります。

Main タブと Wavetable タブでは異なる乱数列が使われています。

Delay

Mix

フィルタ出力とディレイ出力を混ぜる比率です。

Feedback

ディレイのフィードバックです。右に回すと正のフィードバック、左に回すと負のフィードバックがかかります。

Attack

フィルタからの出力をディレイに入力するときに掛け合わされるゲートのアタック時間です。

Semi, Milli

ノートの周波数から相対的に決められるディレイ時間です。次の式で計算されます。

delayTime = 1 / (noteFreq * pow(2, (semi + 0.001 * milli) / 12))

LFO

Tempo, Multiply

LFO の周波数をテンポに応じた形で指定します。 Tempo の下の数字が音符の長さ、上の数字が音符の数です。例えば上が 6 、下が 8 なら 8 分音符の 6 個分の長さが LFO の 1 周期になります (6 / 8 拍子)。

MultiplyTempo から計算された周波数に掛け合わされる値です。

// (60 秒) * (4 拍子) = 240 。
lfoFrequency = Multiply * (BPM / 240) / (TempoUpperNumeral / TempoLowerNumeral)
Amount

LFO でピッチを変調する量です。

Lowpass

LFO にかけるローパスフィルタのカットオフ周波数を変更します。

Interpolation

LFO のウェーブテーブルの補間の種類です。

Refresh LFO

現在の LFO Wave のパラメータに基づいて LFO のウェーブテーブルを更新します。

ウェーブテーブルの更新中は音が止まるので注意してください。発音中のノートも全て停止します。

LFO Wave

LFO の波形です。

Wavetable タブ

倍音コントロール

Gain

プロファイルの高さです。

Width

プロファイルの幅です。

Pitch

プロファイルの周波数にかけ合わせる値です。

Phase

プロファイルの位相をランダマイズする量です。

Pitch

Base Freq.

ウェーブテーブルのレンダリング時の基本周波数です。この値が小さいとマスターピッチのチューニングが狂うことがあるので注意してください。

Multiply, Modulo

プロファイルの周波数を変更します。

profileFrequency = mod(
  BaseFreq * profileIndex * overtonePitch * Multiply,
  440 * pow(2, (Modulo - 69) / 12)
)

Spectrum

Expand

スペクトラムを周波数軸に沿って拡大・縮小するスケーリング係数です。

Shift

スペクトラムを左右にシフトする量です。

Comb

Comb の値が 1 以上のとき、プロファイルをくし状に変形します。値はくしのすき間の間隔です。

Shape

Shape の値を指数として、プロファイルの形をべき乗によって変更します。

shapedProfile = powf(profile, shape);

Phase

UniformPhase

チェックを入れると、プロファイル内での位相を均一にします。

Random

Seed

乱数のシード値です。この値を変えると生成される乱数が変わります。

Main タブと Wavetable タブでは異なる乱数列が使われています。

BufferSize

1 つのウェーブテーブルの大きさです。 2^10 から 2^21 の範囲の 2 のべき乗の値を選択できます。

() で表示された値は全てのウェーブテーブルを合わせたバイト数です。バイト数は次の式で計算できます。

bytes = 4 * 128 * BufferSize

Modifier

Gain^

倍音コントロールの Gain をべき乗する値です。

profileGain = pow(Gain, Gain^)
Width*

倍音コントロールの Width にかけ合わせる値です。

profileWidth = Width * (Width*)

Refresh Table

現在の Wavetable タブのパラメータに基づいてオシレータのウェーブテーブルを更新します。

ウェーブテーブルの更新中は音が止まるので注意してください。発音中のノートも全て停止します。

チェンジログ

旧バージョン

ライセンス

LightPadSynth のライセンスは GPLv3 です。 GPLv3 の詳細と、利用したライブラリのライセンスは次のリンクにまとめています。リンクが切れているときは ryukau@gmail.com にメールを送ってください。

VST® について

VST is a trademark of Steinberg Media Technologies GmbH, registered in Europe and other countries.